境川(2004/05/01)

この日は町田駅から境川を遡り、米軍の相模原補給廠の橋本側の縁を回って相模原駅まで歩きました。

セリバヒエンソウ(キンポウゲ科 ヒエンソウ属 学名:Delphinium anthriscifolium)

中国原産で、明治時代に入ってきた植物だそうです。
名前のいわれは、葉っぱがセリの葉に似ていることと、花の形が飛ぶツバメ(飛燕)に似ていることからきているとのこと。

【鵜野森の斜面緑地にて】


オドリコソウ(シソ科 オドリコソウ属 学名:Lamium album var. barbatum)

ヒメオドリコソウはよく見ますが、オドリコソウにはなかなかお目にかかれません。
町田から上流の境川沿いにはポツポツと群生地がありますが、久しぶりに行ってみると宅地や残土捨て場に変わっていたりして、自生地の消滅を危惧しています。

【鵜野森の斜面緑地にて】


御嶽神社(みたけじんじゃ)

常磐から淵野辺に向かう道が境川を渡る「境橋」から川沿いに少し上流へ歩いたところにある神社です。
立て看板の説明によると由緒は以下のとおりです。

御嶽神社

この地域の鎮守
鎮座地上矢部二ノ二三ノ一
祭神は日本武尊(ヤマトタケルノミコト)である。
例祭は九月八日、笹湯の湯花(ゆたて)神事が行われる。
矢部氏居館の裏鬼門にあたるといわれる。

大野北公民館

説明中に出てくる矢部氏というのは、平安時代末期〜鎌倉時代初期に多摩から武蔵にかけて勢力を誇った武士団、横山党の一族の1つで、この地を治め、すぐ近くに居館跡の遺跡もあります。

また、この神社の境内には、他に以下の神様が祀られています。

 ・日枝神社
 ・弁財天社
 ・八坂神社
 ・蚕影(こかげ)神社
 ・大六天社

おそらく明治時代に行われた神社合祀政策により、各地にあったものがここに集められたのでしょう。それにしても多いですね。

なお、この中にある蚕影神社というのは養蚕の神様で、かつてこの辺り一帯が一大養蚕地であったことを偲ばせます。

※江戸時代から明治にかけて、北関東から八王子、町田、相模原あたりにかけての一帯は、横浜から海外に輸出する生糸を生産するための一大養蚕地でした


矢部氏居館跡

この写真は別の日に撮影したものですが、御嶽神社の説明で矢部氏の話が出てきたので一緒に紹介します。
ここは御嶽神社からそう遠くない場所にあり、常磐から淵野辺に向かう道路の途中にあります。
残っているのは住居そのものの跡ではなく、土塁の跡なので、説明看板を見落としてしまえば、まず気づくことはないでしょう。
立て看板の説明は以下のようになっています。

矢部氏居館土塁跡

横山党の武士、矢部義兼居館の土塁跡といわれる。
義兼は建暦三年(1213年)五月の和田合戦に参加し、他の横山党の一族とともに討死した。

大野北公民館

矢部氏居館跡については、管理人さんが全国各地の城跡を歩き、記録されているサイト「城跡をゆく」の以下のページに詳しく載っていますので、ぜひご覧になってください。

「矢部氏館」
http://homepage3.nifty.com/shiroato/01kanagawa/052yabe.htm

【余談】

このあたり(神奈川県相模原市、旧相模国)は矢部氏が治めていたところということで「矢部」の地名が付いていますが、実は相模国と武蔵国を分ける境界という意味で名付けられた「境川」の、武蔵国側である東京都町田市内にも同じく「矢部」という地名があります。なぜでしょう?

調べてみたところ、古代、武蔵国と相模国が制定された頃の国の境界線は、現在の境川ではなく、私たちがいるか丘陵のくちばしと呼んでいる、境川流域、多摩川流域、鶴見川流域を分ける分水嶺の尾根(尾根緑道や旧戦車道路といえばお分かりの方も多いかもしれません)だったそうです。
考えてみれば人々の暮らす集落のまとまりは、水循環とそれに大きく依存する水田耕作の基本単位となる谷戸や川沿いが普通なので、分水嶺での国の区切りは理にかなった自然なものだったといえます。

ところが、1594年(文禄3年)の太閤検地で、現在の境川が相模国と武蔵国を分ける境界として定められたため、今まで1つの集落であったものが、川を境に違う国の別の集落になるという、住民の生活圏を無視したいびつなものになってしまったのでした。

なお、現在の境川も始めから境川と呼ばれていたわけではなく、太閤検地で国の境界と定められる以前は「高座川(たかくらがわ)」または「田倉川」と呼ばれていたそうです。

矢部以外にも同じ境遇の地名には「小山」や「相原」などがあり、いずれも県境の境川を挟んで隣接しています。

さらに言えば、実はこのような経緯で行政区分が川で分断されてしまったことは、現在でも町田市と相模原市の間で境界線関連でいろいろ問題を抱えており、もめていたりします。


以上


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